Live Q&A
金融vsIT・業界の将来性
金融機関とIT企業、どちらを選ぶべきか——就活生から寄せられる比較質問は多いが、Utsuさんの回答は一貫して具体的だ。銀行同士、SIerと銀行、通信キャリア同士など、個別企業名を挙げた比較にも臆せず踏み込み、業界構造の実態を踏まえた見解を示している。ここでは金融業界とIT業界の将来性、そしてキャリアで何が得られるのかをめぐるやり取りをまとめた。
Q. 住信SBIネット銀行とソニー銀行、資産運用の知識がより身につくのはどちらか。
A. Utsuさんは、住信SBIネット銀行が一択だと断言する。ソニー銀行は個人向け業務や保険が中心であるとして、資産運用の知識を身につける観点では住信SBIネット銀行を推すと語る。
Q. ソフトバンクの総合職とベネッセの総合職、どちらを選ぶべきか。ベネッセでITサービス(Classi)の強化・復権に携わりたいと考えている
A. ITの強化・復権に携わりたいという観点で比較すると、Utsuさんはベネッセの方が確実だと指摘する。ソフトバンクは入社後に何をやることになるか分からないため、目的が明確にあるならベネッセを選ぶ方が良いと語る。また、ワークライフバランスについては、最近はどの会社も整ってきているとの見方を示している。
Q. 新生銀行とりそな銀行で迷っています。将来的には事業承継に携わりたいと考えています。
A. 事業承継に関わりたいという観点であれば、Utsuさんはりそな銀行が理想的だと語る。りそな銀行は古い会社を数多く抱えているため、事業承継案件に携わる機会が多いのではないかと指摘する。一方、新生銀行だといろいろなサイズの会社を扱うことになってしまうと述べる。
Q. 通信ソリューションで世の中をスマートにする軸と、法人営業における成長環境という観点で、ドコモとソフトバンクのどちらを選ぶべきか迷っています。
A. 世の中をスマートにするという軸で見た場合のドコモとソフトバンクについて、Utsuさんは、ドコモは法人営業が弱く、現状は法人営業の面ではソフトバンクに分があると指摘する。ただし、5Gになればドコモがその弱点を強化してくる可能性があり、追いつくワンチャンもあると語る。一方でソフトバンクは通信以外の事業も持っており、もともとソフトバンクテレコムという基盤もあるため、そうした観点も踏まえて選べばよいとUtsuさんは答える。
Q. みずほ証券と新生銀行で迷っています。資産運用を通じて人生を後押しする仕事がしたく、濃い営業経験や商品企画など新しいことに携わって成長できるかで比較したいです。
A. Utsuさんは、まずみずほ証券と新生銀行のどちらで何を知りたいのかを整理すべきだと指摘する。商品企画に携わって成長したいという軸であれば、新生銀行の方が向いているのではないかと答える。一方でみずほ証券は、そうした機会が得られるまでに時間がかかると語る。
Q. 企業がベンチャーキャピタルから出資を受けているかどうかは、企業のIR情報を見れば分かりますか?
A. Utsuさんは、ベンチャーキャピタルから出資を受けているかどうかはIR情報を見れば分かると答える。その上で、まずは自分でIR情報を確認してから質問すべきだと指摘する。
Q. Utsuさんが言う「子会社」には、ファンド傘下の企業も含まれますか?
A. Utsuさんは、ファンド傘下の企業は含まれないと答える。例としてスカイラークを挙げ、そうした企業は該当しないと説明する。
Q. Utsuさんが若い頃ポルシェを買ったと聞きました。自分も大学生ですが、若いうちに高級車に乗ろうと考えています。ローンを組んで無理をしてでも買うことについて、肯定派でしょうか?
A. Utsuさんは自身がポルシェを買った経験について、それによって金で買えるものへの欲がなくなったと語る。その上で、ローンを組んで車を買うのは間違いだと断言する。周囲にはローンで高級車を買う人も多いが、Utsuさんは自分自身については現金で買えるものしか買わないと決めていると語る。家を建てたいと思っていても資金がないため今は建てられないが、ローンを組めばいいという発想は取らないという。
その理由として、Utsuさんは周囲からかき集めたお金を無駄なことには使わないと決めており、個人としては月々一定額(20万円程度)しか自分のために使わず、長年低めの年収水準で生活を続けていると説明する。借金をすると、なぜそんな無駄なことをしているのかと言われかねず、個人として借金をすることは自由を阻害してしまうとUtsuさんは指摘する。会社などの法人であれば借金をして事業を拡大するのは当然だが、個人が借金をすることは自由であり続けるためには良くないというのがUtsuさんの考えである。
Q. 地方銀行や政府系金融機関(商工中金など)が新たな収益の柱としてコンサル的な機能を求められていると感じます。中小企業など大手コンサルに依頼できない企業にとって、地方銀行のコンサル機能はこれから重要になると思うのですが、既存のコンサル業との役割分担についてどう考えますか。
A. Utsuさんは、中小企業向けコンサルの実態についてまず、コンサルフィーとして払える金額自体が中小企業には足りないと指摘する。実際に機能しているのは、事業再構築補助金の申請などで行政書士が成功報酬をもらって穴埋めしている程度だと語る。
金融機関出身者は「コンサルチックなことをやっている」と言うが、実際にはできていないというのがUtsuさんの見方だ。東大を出た程度の能力があっても、事業の中身まで理解できるわけではないと断言する。地方銀行の人間の方がまだできる方だが、それもコンサルと呼べるものではないと指摘する。
その上でUtsuさんは、コンサルと比較して優劣を論じることよりも、自分が行う融資によって相手にハッピーになってもらうために能力をつけることの方が大事だと語る。
Q. 地方銀行と大手SIerの両方から内定をもらいました。新卒でSIer営業に進んだ場合、どのようなものが得られるでしょうか。
A. Utsuさんは、SIerも地方銀行も新卒でどちらに入っても、それ自体で市場価値が大きく評価されるわけではないと指摘する。SIerについては、一人前として扱われるまでに40歳近くかかるような業界であり、IT業界という括りで見れば外資系企業への転職者数自体は多いものの、転職市場での評価が高いわけではないと語る。若いうちに力を蓄えられていなければ、30歳を超えてから使いにくい人材になってしまうとも述べる。その上で、「SIer営業で何が得られるか」という問い自体は本来人に聞くべきものではなく、自分自身で考えるべきことだと指摘し、就職先を選ぶ前に、自分の人生の目的をもっと突き詰めて考える必要があるとUtsuさんは答える。
Q. 大手金融系SIerに内定をもらいました。金融系のシステム開発は成長につながらないという意見もありますが、どう思いますか?
A. Utsuさんは、金融系のシステム開発はもう新規開発の余地がなく、メンテナンス業務が中心になっていると指摘する。やることがない状態だと断言する。
業界比較の答えを他人に求める前に、自分が何を目指すのかを明確にすることこそが選択の出発点だと、Utsuさんは繰り返し説いている。